萬平さんの新しい挑戦が始まりました。そして、福ちゃんも萬平さんに付いてゆく決意を固めます。
萬平さんは、こうと決めたら突き進む人です。そんな萬平さんをフォローできるのは福ちゃんだけ。
新しい週の始まりは?
まんぷく80話あらすじ
「決めたよ。あの話は引き受けます」萬平さんの一言に福ちゃんは不安になりますが、克彦さんの「萬平君には福ちゃんが付いてる。今までかて、色んな事乗り越えてきたんや」という言葉に、萬平さんを信じて付いてゆく覚悟を決めたのでした。
萬平さんが、池田信用組合の理事長になって8年が経ちました。
昭和32年10月、前の年の経済白書に書かれた「もはや戦後ではない」が流行語になり、日本は大きく変わろうとしていました。
福ちゃんたち家族は、池田に家を建てて移り住んでいました。
萬平さんは、池田信用組合の理事長として、上半期の決算報告を社員の前で発表していました。みんなの頑張りのお陰で、目標達成です。
理事長室には、梅田銀行融資課長の喜多村さんが訪れていました。「8年もこの組合を引っ張ってこられて、もう堂々たる理事長ですな」そうほめる喜多村さん。
萬平さんは、普段は自ら組合員の企業を回って支援したり、新規の融資先を開拓していました。大きなお金の流れは、真一さんに任せているのでした。
そんな萬平さんの仕事ぶりを感心する喜多村さん。池田の産業はそれで発展してきたのです。
しかし、7月に入ってから段々景気が悪くなってきたと言います。東京の方では倒産する企業も出てきているそうです。喜多村さんは急に厳しい顔になって萬平さんを見つめ「どうか、油断しないで下さい」
池田駅前商店街を、福ちゃんがニヤニヤしながら歩いています。
初めてパーマをかけたようです。
福ちゃんは、商店街にある「パーラー白薔薇」で昼間の間だけ働いていました。店長の川上アキラさんと川上しのぶさんは、明るくていい人です。アキラさんは俳優になる夢をあきらめた人、しのぶさんは宝塚の落第生みたいです。
そんなお店に、女学校時代の親友トシちゃんが訪ねてきてくれました。久しぶりの再会に喜ぶ二人でした。
鈴さんは、克子姉ちゃんのいえを訪ねていました。福ちゃんが働いていることを「恥ずかしい。理事長夫人なのに」と愚痴を言います。
そのうちに、話は克子姉ちゃんの家の事に。タカちゃんは神部さんと結婚しましたが、神部さんが香田の家に入り、二人は克子姉ちゃんたちと一緒に住んでいるのです。鈴さんはそれが変だと言うのです。
次女の吉乃ちゃんは仕事にでていて、息子のシゲユキ君とマナブ君は東京の大学に進学していました。
克子姉ちゃんの家には、忠彦さん克子さん夫婦、神部さんタカちゃん夫婦、吉乃ちゃんの5人が楽しく暮らしているようです。
「忠彦さんのお陰よ。描く絵が全部高く売れて」そう言う克子姉ちゃんに、「私は忠彦さんは必ず、売れっ子になると思ってました」と、涼しい顔でお茶を飲む鈴さん。これには克子姉ちゃん「よう言えるわね!」と目を丸くするのでした。
福ちゃんの家では、夕食の時間を迎えていました。「お母さん、手伝って~」という福ちゃんに、手伝いたくない鈴さんは「こっちが大事」と、源ちゃん、幸ちゃんに習字を教えていて立とうとしません。
「ただいま~」萬平さんが帰って来ました。喜んで玄関に走る子供たち。
食事をしながら、鈴さんは源ちゃんのいたずらに手を焼いている事を話しますが、福ちゃんは「子供らしくていいじゃない」と相手にしてくれません。鈴さんは、「理事長一家」にふさわしい子供が理想のようです。萬平さんも福ちゃんも、そんなことは気にしない性格なのでした。
福ちゃんは、昼間会ったトシちゃんに相談されたことを萬平さんに話します。知り合いの町工場を助けて欲しいと言うのです。話を聞いた萬平さんは「今まで、世の中にない道具を作ろうとしている」という言葉に興味を惹かれます。福ちゃんも「昔の萬平さんみたいでしょう」と嬉しそうです。
次の日、萬平さんは早速その町工場を訪ねました。「 織田島製作所」と言うこの町工場との出会いが、福ちゃんたちの運命を大きく変えることになるのです。
感想
なに、なに~!?またまた、運命の出会いですか?
萬平さんも福ちゃんも、ほんとに落ち着かない人生ですね。
もともと発明家の萬平さんですから、信用組合の理事長は「仮の姿」とい感じはありましたからね。週の初めに新たな出会い。今週も楽しみな一週間になりそうです。
タカちゃんは、神部さんと無事に結婚おめでとう!
克子姉ちゃんの生き方は、一貫していてぶれてない。芯が強くてかっこいい女性だと改めて思いました。ずっと忠彦さんの才能を信じて支えてきた結果の「今」なんですから。
まんぷく81話あらすじ
梅田銀行の融資課長から「油断しないように」と釘を刺された萬平さんでしたが、その翌日、福ちゃんの友達から紹介された町工場を訪れます。
織田島製作所というその町工場は、親子3人だやっている小さなところでした。父の健三さんが刃物を作っていましたが、家電会社に勤めていた息子の正さんが戻ってきて、今までの技術を使って新しい物を作ろうと言いだしたのでした。
正さんが考えたのが「 万能調理器」でした。「まだ、設計段階ですが」と前置きして、正さんは図面を広げ説明を始めます。それは、部品を取り換えればジューサーにもミキサーにもなり、野菜のみじん切りも出来ると言う物でした。
「でも、まだ細かく切る部分が上手くいきません」「もっと小さくしないと、台所に置けませんし」
話を聞いている萬平さんの顔は、何だかワクワクしているように見えます。
結局、萬平さんは100万円を織田島製作所に融資することを決めました。「あの万能調理器を開発するには資金が必要でしょう?頑張って商品化して下さい」萬平さんは言います。正さんの奥さんの久美子さんも嬉しそうです。
「梅田銀行は、景気が悪くなって来たから、財布の紐を絞めろと言ってるのに、100万円は多すぎないか?」と、真一さんは進言します。しかし萬平さんは「こういう会社こそ、僕たちが助けてあげないと」と言います。
それでも心配そうな真一さんでしたが、萬平さんは「この会社は絶対に伸びます。絶対に!」と断言するのでした。
福ちゃんは、カフェの仕事が忙しくて、いつもより遅れての帰宅となりました。鈴さんは「理事長の奥さんがどうして、あんなお店で働くの?」と相変わらず不満げです。
そんな鈴さんに、源ちゃん、幸ちゃんは「おばあちゃん、雨が降りそうやで。洗濯物を取り込まないと」「早く、早く!」と、縁側に誘導します。鈴さんが言う通りに動くと今度は「おばあちゃん、足元!」「見て!」
そこには、ムカデが!鈴さんは「ぎゃ~!!!!」と叫んで大騒ぎ。しかし、それは源ちゃんが黒豆を糸で繋いで作っ偽物のムカデでした。
「食べ物でいたずらしないの!」と怒る福ちゃんでしたが、源ちゃんが作ったムカデを改めてみると、なかなかの出来栄えです。思わず「それにしても、黒豆で。よく考えたわね」と感心するのでした。
仕事から帰った萬平さんにそのムカデを見せると、萬平さんも「これはなかなか良くできてる」と感心します。福ちゃんは、やっぱり萬平さんの子だと、納得するのでした。
鈴さんは、さっきまで寝込んでいましたが、源ちゃん・幸ちゃんに肩や腰をマッサージしてもらい、すっかりご機嫌も直ったようです。
萬平さんは、織田島製作所に融資すると決めた事を福ちゃんに話します。そして、万能調理器の説明を始めます。
ノートに絵を描きながらいきいきと説明する萬平さん。野菜をみじん切りにすると聞いて、福ちゃんは「昔、萬平さんが作ってた、根菜切断器!」と思い出します。
「そうなんだよ!」萬平さんも嬉しそうです。
「あのころは、野菜を細かくするだけでも十分画期的だったが、これはジューサーもミキサーも付いてるわけだから、相当な技術力だ!完成したらきっと売れるよ!」萬平さんは、それで融資を決めたのでした。
大阪の克子姉ちゃんの家では、克彦さんが新たな作品を完成させていました。みんなが、完成を祝いますが克彦さんは「嬉しいなんて感覚は無いなあ」と言います。「何でですか?絶対売れるのに」神部さんが言います。
克子姉ちゃんが言うには、昔から克彦さんは、売れるとか売れないとかどうでも良くて、自分の描きたいものだけ描いてきたのです。
今は、描きたい絵を描いて、それが売れてるんだからこんな幸せな事はない。みんなにそう言われて「今はもっと違う絵を描いてみたいと思う気持ちがある」克彦さんは言います。
「描けば良いやない」「描いて、描いて!」「私も見たい!」
しかし、克彦さんは「ただ、問題がある。描きたい絵がわからない」
「違う絵を描きたいのに、それがどんな絵なのか分からんのや」そう言って頭を抱えてしまった克彦さん。みんなは、どうにも答えられず、話題を逸らしてしまいました。「みんなも考えてくれよ~!」
子供たちを寝かせた福ちゃんに「もう8年か。こんなに長く続けられると思ってなかったよ」と萬平さんが話しかけます。「萬平さんはしっかり勤めてらっしゃいます」という福ちゃんでしたが、萬平さんが小さな溜息をついたのに気が付きます。
「どうしたんですか?」福ちゃんの問いかけに萬平さんが答えたのは、昔の生活を懐かしむ思いでした。織田島製作所が家族3人で頑張っている様子をみて、物作りをしていたころを思い出したといいます。
「時々、ふっと思うんだ。自分はこんなことしていて良いんだろうかと」
福ちゃんは、萬平さんが人の役に立っていると言いますが、萬平さんの思いは別にあるようです。子供たちは、信用組合理事長の萬平さんしか知らない。塩作りをしたり、ダネイホンを作った萬平さんを知らないのです。
「大変だったけど楽しかったなあ」そうしみじみと言う萬平さんに、福ちゃんは問いかけます。「萬平さん、後悔してるんですか?」
何も答えない萬平さんに、人の役に立っている仕事をしてるのだと話しますが、萬平さんは「お休み」と言って、背を向けてしまいました。
感想
源ちゃんは、とても子供らしい子供ですね。実際、家にあんな子供がいたら楽しいかもしれません。今度は、何をしてくれるんだろう?って。
でも、毎日は無理かも。自分の子供だったらきっと困ってしまいそう。
鈴さんの気持ち、お察しいたします。
萬平さんも、克彦さんも、人生の壁にあたっているのでしょうか?
それぞれ、分野は違えど順風満帆に見えます。他人からみたら、羨ましい限りの成功者に入ります。
でも、何かが足らないのでしょうね。男の人は、いつもワクワクしていたいのでしょうか?平穏な毎日だと、飽きてしまうのでしょうか?
克彦さんは、どんな絵を描きたいのか?そして、萬平さんは、これから何がしたいのか?
織田島製作所との出会いが、幸せへのカギであることを祈ります。
まんぷく82話あらすじ
福ちゃんはトシちゃんから、織田島製作所の事でお礼を言われました。織田島さんの奥さんも凄く喜んでいたそうです。福ちゃんが、萬平さんはあの万能調理器が絶対に売れると信じている事を話すと、トシちゃんも「紹介した甲斐があった」と嬉しそうです。
一方で福ちゃんの顔に、影が差します。萬平さんに気持ちの変化が起こったような気がして、考えていたのです。
池田信用組合の萬平さんは、理事長室で夕方五時の時計の音を聞いています。
その少しあと、真一さんが書類に決裁印をもらおうと理事長室にやってきます。しかし、いたのは秘書の望月さんだけ。萬平さんは、とっくに帰ったと言います。「もう?」あまりの早い退社に真一さんは驚きます。
「最近、理事長は定時になるとすぐに退社されます。早く家に帰って、お子さんの顔を見たいんやありませんか?」望月さんに言われて、真一さんは何か思い当たったようです。
鈴さんを驚かせたムカデの一件を萬平さんから聞いていたのです。福ちゃんから「やっぱり物作りがすきなのは、貴方の子ね」と言われて、萬平さんは喜んでいたと言います。「それで、早く子供との顔が見たいんだ」
家では、子供たちが食事の支度を手伝っていました。そこへ、世良さんが訪ねてきました。「世良おじちゃんや!」子供たちは喜んで玄関へ走ります。
世良さんは、会社も大きくなってアメリカへもしょっちゅう出かけています。今日も沢山のお土産を持ってきてくれました。
子供たちに「アメリカの話して~」とせがまれた世良さんは、アメリカで見た映画の話を始めます。しかし「題名は・・・セブン?・・・」「内容は、ん~なんやよう分からん」
主演女優の話から、福ちゃんは「それ、7年目の浮気って映画や。マリリン・モンローの。2年前にお母さんと見ました」
世良さんは、福ちゃんたちに「マリリン・モンローはえらい別嬪さんやけど、そんな話、奥さんにしたらダメよ」と言われますが、昨日もう話してしまったと言います。「だから、今朝機嫌が悪かったんか?」
「ところで、何で立花君はおらんのや?信用組合はとっくに閉店の時間や」世良さんに聞かれて「最近はずっと残業で、帰りは9時、10時なんです」
「それは可笑しい。さっき会社に電話したら、理事長は定時に退社しましたってゆうとったぞ」
それを聞いて福ちゃんの顔色が変わります。「そしたら、どこに?・・・」
「もしかして、女が出来たんちゃうか?」世良さんがいいだします。「残業ゆうたら、女が出来た時の典型的な言い訳や」
「萬平さんは、そんなことしません!」そう言いながらも、福ちゃんの顔はひきつって行きました。
その夜、萬平さんが遅くに帰宅します。玄関を開け「うわっ!」そこには福ちゃんが座っていて萬平さんは驚きの声をあげます。
「お帰りなさいませ。お仕事ご苦労さまでした」と、馬鹿丁寧に三つ指をついて頭を下げる福ちゃんに、またまた驚きます。
居間に入ると、今度は鈴さんが正座をして待ち構えていました。「ここへ、お座りになって!」
鈴さんは、かしこまって「今日はどうして遅くなったんですか?」と詰問します。萬平さんの答えは当然「残業です」
「嘘!」鈴さんは、世良さんが会社に電話して聞いたことを話します。「理事長は、毎日定時に帰っていらっしゃいますと言われた」「毎日どこに行ってるの?」「世良さんは浮気をしてるに違いないって」
萬平さんは、否定はしますがハッキリとした事は言いません。
すると福ちゃんが、萬平さんの指が汚れていることに気が付きます。そこで、福ちゃんはハッとします。「まさか!」
「織田島製作所を手伝っているんだ」観念した萬平さんが、やっと白状しました。
鈴さんは「理事長は町工場、理事長夫人はパーラー。何なのよ!」とあきれます。
福ちゃんは、物作りをしたくて通っている萬平さんの気持ちがわかるだけに、何も言えずに、萬平さんを見つめるだけでした。
次の日、福ちゃんは織田島製作所をこっそり訪ねました。外から工場の中を伺っていると「どちら様ですか?」と後ろから声を掛けられます。奥さんの久美子さんでした。福ちゃんが名乗ると「いつもお世話に・・・」と感謝されます。
萬平さんがいるかと尋ねると、引き戸を開けてくれました。そこには、織田島さん親子と一緒に万能調理器を作っている萬平さんがいました。福ちゃんは、中には入らずそそくさと工場を後にしました。
あんなイキイキした萬平さんを見るのは何年ぶりでしょう?福ちゃんは複雑な思いを抱いていました。
感想
萬平さんは、物作りへの情熱を思い出したのです。
人の為になる仕事は、色々あります。
信用組合の仕事は、もともと萬平さんが望んで就いた仕事ではありませんでした。しかし、自分で決めたからには全力でやるのが萬平さんです。
そうして、頑張って、8年が過ぎました。
織田島製作所との出会いは、頑張った8年のご褒美だったのかもしれませんね。
まんぷく83話あらすじ
織田島製作所で、イキイキした萬平さんを目の当たりにした福ちゃん。何とも複雑な思いでした。
萬平さんは真一さんにも、織田島製作所を手伝っていることを話します。今まで黙っていたことを詫びる萬平さんに、真一さんは驚きながらも福ちゃんの事を気にかけます。
「浮気じゃなかったと、安心してました。手伝う事は構わないと」萬平さんはそう答えます。真一さんも、萬平君らしい、もともとそういう人だったと納得します。
しかし、万能調理器の図面を広げ、自分が開発しているが如く熱心に話す萬平さんを、真一さんは心配そうに見つめるのでした。
パーラーの福ちゃんの元に世良さんが来ていました。福ちゃんは、萬平さんがこの8年、我慢して働いてきたのでは?と世良さんに相談します。
本当は物作りがしたいのに、家族の為に自分を押し殺して信用組合で働いてきたのではないかと福ちゃんは思ったのです。
「なんも心配せんでいい。立花君はちゃんとわかっとる」世良さんは、萬平さんはもう47歳にもなったのだから、理事長職を全うする気でいると言います。世良さんは、萬平さんは趣味を見つけたんだといいます。町工場を手伝うのは趣味だと思えばいいのだと。
鈴さんは、克子姉ちゃんの家に、また萬平さんの事で愚痴を言いに来ています。信用組合の理事長が、手を真っ黒にして町工場を手伝うなんて、理解できないと言います。
そういう庶民的な所が信用組合のお客さんに好かれてるのでは?とタカちゃんは言いますが「萬平さんには、威厳が足りない!」と言う鈴さん。
責任ある仕事をしてるからこそ、息抜きの時間が必要だという克子姉ちゃん。忠彦さんでも、人からは成功したように思われていても悩んでいるのだとタカちゃんも言います。
「萬平さんも忠彦さんも、一つの枠に収まるような人やないのよ」克子姉ちゃんはしみじみと言います。売れなくてもいいから、好きな絵を描いて欲しいのだと克子姉ちゃんは言うのでした。
克彦さんは「僕が描きたいもの・・・」何度も呟いて悩んでいました。
信用組合では、真一さんが梅田銀行からの電話を受けていました。梅田銀行は、織田島製作所への追加融資を止めるようにと言ってきたのです。万能調理器は完成の目途が立っている、ここで融資を止めたら損だと、真一さんは説得を試みますが上手くいきませんでした。
そのことを伝えに理事長室に向かいますが、萬平さんはもう退社した後でした。部屋にいた秘書の望月さんが、何か言いかけて口ごもります。
真一さんは気になって促すと、望月さんは「理事長は織田島製作所に、入れ込み過ぎなのではないでしょうか?大丈夫なんですか?」
「将来性のある会社を助けるのが、信用組合の役目だよ」そう言って望月さんを安心させた真一さんでしたが、真一さん自身も望月さんと同じ事を危惧していたのでした。
福ちゃんのところに、ご近所さんが美味しそうな蜜柑をおすそ分けしてくれました。子供たちと美味しく頂く鈴さんが、皮を剥かなくても中の房の数が分かる方法を披露します。みんな感心して、大喜び。「お父さんにも教えてあげよう!」「今日は早く帰ってこないかな~?」
大阪の香田家、神部さんは会社から帰ると、萬平さんが町工場を手伝っていると聞いて興味津々。「どこで?」「何を作ってるの?」
タカちゃんは、妹の吉乃ちゃんに「ほんとに繁さんは萬平おじちゃんが好きね。お姉ちゃんより好きかも」と言われてしまいました。
福ちゃんは、頂きものの蜜柑を持って織田島さんを訪ねました。今日は早く帰って欲しいと言いに来たのです。福ちゃんが言いかけると、奥から出てきたのは神部さん。「萬平さんが、町工場を手伝ってると聞いて、居ても立っても居られなくて」
萬平さんが、他の事が目に入らない程一生懸命な様子をみた福ちゃんは、色々なことが頭の中をよぎるのでした。
感想
今日の放送では、萬平さんがどんどん物作りにのめり込んでいく様子がよくわかりましたね。福ちゃんと出会った頃、福ちゃんに根菜切断器の説明をする萬平さんと、今、万能調理器の説明をする萬平さんは、同じ目の輝きをしています。
福ちゃんは、心のどこかでとっくにわかっているのだと思います。もう、萬平さんを止めることはできないと。
しかし、問題は複雑です。梅田銀行から追加融資のストップがかかった事を萬平さんはまだ知りません。それを知ったら、萬平さんはどうするのでしょうか?
今は昔のように、福ちゃんと二人ではありません。まだ小さい子供がいます。家族がいるのです。いったいどうなるのでしょう?
まんぷく84話あらすじ
織田島製作所では、萬平さんと神部さんの手助けを借りて、万能調理器の完成が最終段階を迎えていました。
「じゃあ、やってみましょうか」機械をセットして、神部さんが林檎を投入します。みんなが息をのんで見つめますが、注ぎ口からジュースは出てきません。「何で~」
その夜、帰宅した萬平さんは元気がありません。
「お風呂にしますか?その間に食事の準備をしておきます」福ちゃんのことばに「悪いが今日はいらない。食欲がないんだ」と萬平さん。
福ちゃんは、万能調理器の開発が上手くいかなかった事を理解します。
「ああ、手も洗わないとな」どこか上の空な様子の萬平さんに、福ちゃんは考え込んでしまいました。
その夜は、神部さんも万能調理器の事で頭が一杯のようです。タカちゃんが話しかけても耳に入りません。「吉乃に言われたの。早く甥っ子か姪っ子を抱っこさせてくれって。だから、私たちもそろそろ・・・」タカちゃんは恥ずかしそうに言いましたが、隣を見ると、神部さんはすっかり寝入ってしまっていました。
翌朝、萬平さんが食卓につくと、萬平さんだけ品数の多い事!萬平さんが多すぎると言いますが「昨日、あなただけ召し上がらなかったでしょ?召し上がって下さい!」と有無を言わせぬ雰囲気の福ちゃん。
鈴さんも「私はあなたが工場を手伝うのは反対です。でも、福子は、あなたの好きなようにって言ってるのよ。でも」
鈴さんの言葉をうけて福ちゃんが「夕飯を抜いてまでするのはどうかと思います」
「福子は、あなたの健康を心配してるの」萬平さんは仕方なく「分かりました。食べるよ。いただきます」
それを見ていた子供たち。「お父さんが叱られた」と笑います。
食事が始まると、今度は福ちゃんは「神部さんを巻き込むのはやめて」といいます。神部君が勝手に来てるだけだと反論しますが、「萬平さんがビシッと言ってやって!」と一蹴されます。仕方なく「はい」と言う萬平さん。
子供たちは「また叱られた」と笑います。
会社に出社した萬平さんは、席につくなり大きなため息をつきます。秘書の望月さんがどうしたのかと尋ねます。
「朝から腹いっぱい食わされて、その上福子とお母さんから色々と小言を言われて、今日は気が重いよ」
そこへ、真一さんが入ってきます。「悪い知らせがあります」
「今、梅田銀行から電話があって、やはり新規の融資には金は出せないと言われました。織田島製作所も含まれます」
納得できない萬平さんは、梅田銀行の喜多村さんに早速電話をします。「考え直していただけませんか?」しかし、喜多村さんの考えを変えることはできず、一方的に電話を切られてしまいます。
少し考えた萬平さんは「うちの金庫に今、幾らありますか?」
いきなりの質問に真一さんが驚くと、萬平さんは「織田島製作所だけは融資を続けさせて貰えませんか?」と言いだしました。
福ちゃんの働くパーラーに、鈴さんと克子姉ちゃんがやってきました。プリンを一口食べて「美味しい!」とご機嫌の克子姉ちゃん。
「私も働こうかなあ」と言う克子姉ちゃんに「止めて頂戴!福子は自分が働いてるから萬平さんに何も言えないのよ」と鈴さん。
「本当は、止めて欲しいんでしょ?町工場を手伝う事」すずさんは言いますが、福ちゃんは萬平さんの健康が心配なだけだと言います。
克子姉ちゃんも、信用組合の仕事もちゃんとやってるんだから良いのではと言います。「私は忠彦さんが何をしてても平気よ」
ところが、克子姉ちゃんが家に帰ると、玄関には女物の草履が。不審に思って忠彦さんのアトリエに行ってみると、そこには和服の美女が。「花村奈保美と申します」モデルさんでした。
忠彦さんは「これからは、美人画を描こうと思う」と言います。「好きなようにしたらいいと言ってくれたお陰で決心がついた」
「色弱なのに?」と克子姉ちゃん。克彦さんは、色弱という欠点を生かして、誰の真似でもない自分の画風をみつけたと言います。
「それを、美人画にも生かしてやる」克彦さんにそう言われて何も言えない克子姉ちゃんでしたが、美人画のモデルさんを目の当たりにして、複雑な心境になるのでした。
福ちゃんのパーラーを今度は真一さんが訪ねてきます。梅田銀行から、融資を止められたにも関わらず、それを続けようとする萬平さんを心配したのです。「気持ちはよくわかる。でも、織田島製作所に入れ込み過ぎだ。万能調理器を完成させることで頭が一杯なんだよ萬平君は」
そのことは、福ちゃんも良くわかっていました。「福ちゃんからも話してくれないか?程ほどにしてくれと」真一さんに言われて力なく頷きます。
織田島製作所では、あと一歩のところで上手くいかずにいました。モーターを強力にした方がいいが、それにはまたお金がかかるのです。お金の心配をする正さんに萬平さんは「それは、気にしないで下さい」と言うのでした。
その夜も、萬平さんは遅くに帰宅します。「今日はちゃんと晩御飯を食べるよ。その前に風呂に入る」
「萬平さん・・・」福ちゃんは真一さんに頼まれたこと言いだそうとしますが、萬平さんが話続けます。
「やっと改良すべき点がわかったんだ。もう完成は目の前だ。もうすぐ終わるよ」そう言ってお風呂に入りにいきました。
話すタイミングを失った福ちゃんでしたが、もうすぐ終わると言う萬平さんの言葉を繰り返し「良かった。・・・良かった、良かった」と自分を納得させるように呟くのでした。
感想
福ちゃんの思いは複雑です。
萬平さんの気持ちは痛いほどわかる。好きな事に熱中している萬平さんの顔は本当に満ち足りています。
一方で、今の平穏な生活は守りたい。子供たちの笑顔を守りたい。
果たして、万能調理器は完成するのでしょうか?
今日は、克子姉ちゃんにも、驚きの展開が待ち受けていましたね。美人画のモデルさんが突然現れたら、克子姉ちゃんじゃなくても驚きます。
忠彦さんは、事前に克子姉ちゃんに「美人画を描こうと思う」と話すべきだったのではないかと思いますが、如何ですか?
どこまでも、自由人の忠彦さんだから、仕方がないとは思いますが。
まんぷく85話あらすじ
福ちゃんは、萬平さんが「もうすぐ終わる」と言っていたことを、真一さんに報告します。
萬平さんが、自分は我儘なことをやってると分かってたんだという福ちゃんに、真一さんも安心するのでした。
電話を終えた福ちゃんが、急いで仕事に出ようとしていると、鈴さんが克子姉ちゃんの所に行ってくると言います。タカちゃんから相談があると言われとか。
タカちゃんの相談とは、克彦さんの絵のモデルさんについての事でした。朝9時に来て、夕方まで、お昼ご飯のとき以外はずっと克彦さんとアトリエに籠っていると言います。
「間違いが起こったらどうするの?」と言う鈴さんでしたが、克子姉ちゃんは「あの人は、職業画家なんですから、そんなことは一切ありません」と言い切ります。しかし、克子姉ちゃんの表情は険しいように見えます。
鈴さんが、何か甘い物ない?と言ってタカちゃんと一緒に立ち去ります。克子姉ちゃんは、やはりアトリエが気になるようで、自然とそちらに目が行ってしまうのでした。
「金庫には殆どもう現金がありません。このままでは、いずれ空になりますよ」新規の融資も、追加融資も止めようと言う真一さん。「織田島製作所も・・・」言いかける真一さんに、萬平さんは「あそこはダメです!」
萬平さんが追い詰められていることを、福ちゃんは知りませんでした。
「何だって、一生懸命やればきっと上手くいく」萬平さんも福ちゃんも、そう信じていたのです。
そして、遂に万能調理器が完成しました。織田島さんは、萬平さんと神部さんに深々と頭を下げて感謝します。萬平さんも、感無量です。
「あとはこれを、どうやって商品化に持って行くかだ」
池田信用組合に戻った萬平さんは、資金のことで真一さんと話をします。どこの銀行も、資金援助はできないというのです。仕方なく、萬平さんは梅田銀行に頼むことにしますが、真一さんは「金を貸すなら、担保の事を言ってきますよ」
その夜萬平さんは、完成した万能調理器を持ち帰り、家族の前で林檎ジュースを作って見せます。出来上がったジュースを皆で味わいます。「美味しい!」「美味しい!」「リンゴジュースや!」
子供たちがお風呂に入りにいったあと、萬平さんは福ちゃんと鈴さんに「話がある」と改まって言います。
出来上がった万能調理器を商品化して売って行く為には資金が必要であること、織田島製作所にはそんな金はないし池田信用組合にもないこと、だから梅田銀行から資金援助を受けるしかないことを話します。
ここまでは、福ちゃんも鈴さんも理解できる話です。
萬平さんは「梅田銀行が池田信用組合の母店であっても、この不況なので担保が必要なんです」と言います。
そこで萬平さんは、少しためらってから「 この家と土地を担保にしたいんだ」と言いだします。織田島製作所を応援したいと言うのは、理事長としてでなく個人としての思いだから、組合に迷惑はかけられないと言うのです。
当然、鈴さんは大反対!
「必ず売れる!」と萬平さん。「必ずなんてない!」と鈴さん。
強固に反対する二人に、萬平さんは静かに話し出します。
「8年前に国の追徴課税を受け入れたのは、国と戦うよりも自分のやりたいことに力を注ごうと思ったからです。そのあと、信用組合の理事長になったのも、人の役に立つ仕事だと思ったからです」
「でも、織田島製作所を手伝うようになって、僕は気づいたんです。僕が本当にやりたかったことはこういう事なんだって。僕はずっと自分を押さえつけてきたんだって
「この万能調理器は、織田島製作所だけの夢じゃない。僕と神部くんの夢でもあるんだ。このまま世に出せぬまま埋もれていくなんて耐えられない」
「頼む!福子!」萬平さんにそう言って頭を下げられた福ちゃん。
鈴さんは「駄目よ!福子!」と必死に言います。
福ちゃんは、萬平さんの言葉をじっと聞いていました。そして、今までの萬平さんのやってきたことや言ってきたことを思い出していました。
「わかりました」福ちゃんは、自分も萬平さんと同じことを思っていたということに気づきました。
「8年前、本当の萬平さんに戻って下さいといったのは私ですから」そう言って萬平さんに笑顔をみせます。その笑顔は晴れやかなものでした。
感想
萬平さんは、とうとう自分の本当の思いを福ちゃんに話すことができました。福ちゃんは、薄々はわかっていたんだと思います。
萬平さんを支えたい気持ち、萬平さんを応援したい気持ち、今の生活を守りたい気持ち、子供たちを守りたい気持ち。
どれも福ちゃんの気持ちですが、どれが一番なのかは決められません。
萬平さんは、自分のやりたいことを優先してしまう身勝手な夫なのかもしれませんが、自分のそんな気持ちを正直に話してくれる素敵な夫でもあるのですね。
万能調理器が上手く商品化され、沢山のひとが笑顔になったらいいですね。
まとめ
やっと、萬平さんは自分の居場所をみつけました。福ちゃんも、漠然とした不安を感じていた自分の気持ちがわかったようです。
しかし、物事はそう上手くはいきませんよね。塩作りも然り、ダネイホン作りも然りです。
家を担保にしてしまい、もう後には引けない萬平さん。この先はどんな事態になるのでしょうか?
克子姉ちゃんにも、波乱の予感。こちらの展開も目が離せないですね。
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